松田 幸裕 記
Jリーグが発足から30周年を迎えました。
30年前、私もJリーグ発足に便乗して、その当時の勤務先で同期メンバーを中心に人を集めてサッカー部をつくり、Jリーグ発足と同時に初練習をしたことを覚えています。
Jリーグ発足前、日本サッカー界はあまり盛り上がっていませんでした。当時学生だった私は、新聞屋さんから無料の観戦チケットをもらって読売サッカークラブ(現ヴェルディ川崎)の試合をよく見に行きましたが、試合後に会場裏に行ってラモス選手たちのサインをもらったことを覚えています。さほど群がる人も多くなかったため、簡単にサインをもらえる環境でした。
そこから三浦知良選手が帰国し、Jリーグが発足し、日本サッカー界は大いに盛り上がりました。私自身、今でも細々とフットサルをしていますが、私がサッカーを続けられているのは当時のJリーグ発足を盛り上げてくれた方々のおかげではないかと、勝手ながら思っています。
サッカーが汚れてきている?
今もテレビやネットなどでサッカー中継を見ていますが、最近は「審判の目が選手のスピードや技に追い付かなくなってきているのではないか」と感じることがよくあります。ボールを取りに行く選手、ボールを持っている選手ともに相手のユニフォームを引っ張ることが多いですが、後からスローで見ないとわからないような巧妙さで行うため、なかなかファウルをとられません。転び方もうまくなっていて、これも後からスローで見ないとわからないくらい巧妙になっています。昨年のワールドカップ カタール大会でも、「え?これでファウル?シミュレーション(ファウルを受けたふり)では?」と思うことが何度もありました。
昔も、例えば1986年ワールドカップ メキシコ大会のアルゼンチン対イングランド戦でマラドーナが手を使ってゴールした、いわゆる「神の手」ゴールなど、審判の判定について課題はありましたが、最近はあのようなわかりやすいものではなく、より巧妙になっているような気がしています。
正しくないことをした時に審判が適切にジャッジしないと、見ている方も気持ちよくありません。試合が終了した時にすっきりせず、モヤモヤした気持ちになります。私は女子サッカーもよく見ますが、女子サッカーの方がユニフォームを引っ張るような汚いシーンは少なく、全体的にクリーンなため、どちらかというと女子サッカーを見る方が好きです。以前私の知人が、「息子にはサッカーをやらせたいと思わない。汚いプレーとかが多くて、そういうスポーツをやってほしいと思わない。」と言っていたことを思い出しました。クリーンさはスポーツにとって重要な要素だと思うので、サッカーはクリーンなスポーツであり続けてほしいですが、最近はそう感じなくなってきてしまいました。
技術の力でサッカーをクリーンに!
最近では、「ボールがラインから外へ出たか?」、「オフサイドか?」などの判定において、技術の力によって正確性が増してきています。昨年のワールドカップ カタール大会では、「三笘の1ミリ」での劇的なゴールがありました。あのボールの内部には加速度センサー、角速度(ジャイロ)センサーが搭載され、3次元の慣性運動、並進運動、回転運動を検出できるようになっていたそうです。また、観客席の最前列前の外周に張り巡らせたアンテナとの連動で位置の計測をしているため、1ミリ以下の精度で位置を測れるそうです。
また、ゴールに関わる重要な場面ではVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)が活躍するようになりました。判定に少々時間がかかりますが、多くの角度からの映像で正確に判定できるようになってきています。
このような判定を、AIを駆使して極力正確かつ迅速に判定できるようになれば、ゴール前の重要なシーンのみでなく、必要以上にプレイを止めることなく正確なジャッジが行えるようになるかもしれません。
サッカーがクリーンなスポーツでいられるために、楽しく、気持ちよくサッカー観戦ができるように、最新技術が有効に活用されて正確な判定ができるようになることを期待したいです。