· 

会議に関する問題は、いつになったら解消されるのか? その2

松田 幸裕 記


24日、ロシアがウクライナに対する軍事侵攻を開始し、戦闘が続いています。各国はロシアの行為を非難していて、ロシアへの制裁を開始してはいますが、戦闘の動きを止めることはできないようです。

科学、IT、医療などにおける進化を続けている人間は賢いように見えて、今回のように国同士で争ってしまったり、人間同士で感染するコロナウイルスに為す術もなかったりします。人類は進化しているように見えて、「人の痛みを自分の痛みとして感じる」などの精神面は進化していない部分が多いのかもしれませんね。とても悲しいことです。

本題に入ります。ずいぶん前になりますが、「会議に関する問題は、いつになったら解消されるのか?」というタイトルで、考察をまとめました。その時は「役割モデル」や「組織内の官僚制」など根本的な話にまで踏み込みましたが、今回はもう少し現場で何とか改善できるレベルの話をしたいと思います。

ミーティングの時間短縮

よく「1時間のミーティングを30分に短縮する」などの対策が組織として行われることがあります。1時間を30分に短縮して同じ成果が出せれば大きな効率化につながるため、実現できれば効果としては大きいですね。「パーキンソンの法則」では、人間は与えられた時間を全て使ってしまうとされていますが、「なんとなく1時間」という形で予定を入れて、30分程度で終わるテーマもついダラダラと話を進めてしまっている現状があるのであれば、この対策は効果は出そうです。ただ、時間を半分に短縮するための工夫の方法を間違えると、結果的に効率化につながらないため注意が必要です。

例えば「30分しかないため、事前にこの資料を読んでおいてください」という形で資料の説明を省こうとするパターン。資料を説明なしで呼んで理解するより、資料を見ながらポイントを説明してもらった方が、時間は短縮されますよね。それなのにミーティングの時間を削減したいがために「事前に読んでおいてください」として「資料を説明なしで呼んで理解する」という非効率な方を選択してしまうと、会議の時間を他に分散しただけで、さらに非効率を生む結果になってしまいます。

ダラダラとしたミーティングは効率化すべきですが、ミーティングの時間を短縮する理由を忘れないようにしないといけませんね。

議事録

皆さんはミーティングの議事録をどんな時に作成していますか?一般的なパターンとして、議事録を残すのは「経営会議など上層部が参加する会議」、「上層部への報告などを目的とした会議」、「取引先との会議(取引先が証拠を残すために作成)」などであり、それ以外の会議ではあまり議事録を残すようなことはないのではないでしょうか。

議事録はミーティング後にきっちり作成するのが一般的で、結構時間がかかるものですよね。毎回議事録を作成していたら、大変です。そのため、日常のミーティングでは議事録を作成することが少ないというのも、理解できます。しかし、日常のミーティングで議事録が無いために、「主体的な立場ではないが、話についていけなくなるから、参加しなきゃ…」という理由で参加することも多いのではないでしょうか。

弊社では、すべてのミーティングで「議事メモ」を作成しています。これはMicrosoft OneNoteなど共有可能なデジタルノートアプリで作成するもので、ミーティング中に殴り書き的にメモを残し、それをそのまま関係者に共有してしまうというものです。殴り書きではあるもののミーティング中に完成するため、議事録作成の時間は不要ですし、参加していない人が概要をつかむこともできるようになりますし、後で「確か以前こういう話をした気がする」などのときに検索して過去の経緯を確認することもできます。ぜひ皆さんにもお勧めします。

合意形成の準備

合意形成や意思決定を行ううえで、ある程度議論を発散させる場面も必要です。ただ、ミーティングで議論を行うための準備が不十分で、不必要に発散してしまう場面も多くあります。

前回の投稿「意思決定・合意形成を最適化するために」に書いた通り、適切に合意形成を行っていくためには「現実(事象理解・原因深掘り)」、「理想(あるべき姿の探求)」、「改善点の候補」などを可視化し、整理したうえで議論するべきです。これを怠ると、思い付きの意見の乱立で議論が無駄に発散し、時間がかかるばかりか、適切な意思決定もできません。

議論を行う時には上記のように情報を整理しておき、その整理したものを見ながら建設的に議論し、それでも発散する場合は再度仕切り直して情報を整理し、改めてその整理された情報で議論する、という形が望ましいと思います。

弊社ではこの合意形成でも、Microsoft OneNoteをかなり活用しています。きれいな図や表などをPowerPointのスライドなどで作成するのは時間がかかりますよね。社内での合意形成レベルであれば、OneNoteでも体系的に整理した表現はできますし、体裁をあまり気にせずに本質的な部分に集中することができますので、お勧めです。

会議における課題の改善策はまだまだありそうですね。永遠のテーマですので、また折に触れてこのテーマを扱っていきたいと思っています。